【被ばく調査】栃木県有識者の安全宣言を考える

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【被ばく調査】栃木県有識者の安全宣言を考える環境中に放出された放射性物質がどのように振る舞い我々の身体にどのような影響を与えるのか?

その事が不確かなために多くの人が心配しています。歴史を振り返り、自分で調べれば調べるほど、なぜかその考えは安心な方には行かずに「やっぱりヤバいんじゃないの?」と考えざるをえない情報が集まってきます。何か調べ方がおかしいのでしょうか?

世の中には放射能は「心配ない」「大丈夫」「気にし過ぎ」という人の方が人口的には多いんですよね。その結果、栃木県では次のような記事が話題となっています。


「将来の健康障害ない」 放射線有識者会議が報告書 栃木

産経新聞 2012.6.3 02:03

栃木県の「放射線による健康影響に関する有識者会議」(座長・鈴木元国際医療福祉大クリニック院長)は2日の会合で、県内の放射線量について「将来、健康障害が起きるレベルにはない」と結論づける報告書をまとめた。この中で、県に対しモニタリング調査を継続し、公表するなど、県民の不安払拭に努めるよう提言。月内に報告書を福田富一知事に提出する方針。

この日の会合では、汚染状況重点調査地域に指定された大田原市や日光市、那須町などを含む県内10市町で、今年1月末から3月末に実施した小中学生らの個人線量計(ガラスバッジ)調査の結果を報告。2カ月間の累積外部被曝(ひばく)線量は0・1ミリシーベルト未満(45・3%)と0・1ミリシーベルト(42・8%)が9割近くを占めたことから、有識者会議は「年間の外部被曝線量が3・9ミリシーベルトを上回ることはない」と評価した。

このため、学校給食の放射性セシウム調査やホールボディーカウンターによる内部被曝調査の結果とともに、報告書で「外部被曝と内部被曝をあわせても年間5・0ミリシーベルトを超すことにはならない」と分析し、放射線量が健康に与える影響について「健康障害が起きるレベルにはない」との見解を示している。

鈴木座長は「(調査結果を)県民にうまく伝えて安心してもらい、県民の不安払拭に向けた継続的な県の取り組みも必要になる」と指摘。報告書で、(1)今後の状況に応じた迅速、的確な対応(2)放射線の可視化の継続(3)県民への情報提供とリスクコミュニケーションの継続-などを県に求めている。

そもそも判断基準とする数値が引き上げられてしまっています。なぜか大人の公衆被ばく限度である年間1.0ミリシーベルトの値は使わず、「年間の外部被曝線量が3・9ミリシーベルトを上回ることはない」としています。さらに「外部被曝と内部被曝をあわせても年間5・0ミリシーベルトを超すことにはならない」と言っています。



んっ?原発労働者の方で年間5.2ミリで白血病になり労災が認められた人がいたと思いましたが気のせいでしょうか?

子供たちの健康影響を判断する為におこなっている調査でありながら、原発労働者基準の線引きで判断されても果たして安全なのかどうなのか納得する親がいるのでしょうか?この点に非常に疑問が湧いてきます。数値の意味をもっと丁寧に伝える必要を感じます。「県民への情報提供とリスクコミュニケーションの継続」を行うのであれば、この数値の意味についてもしっかりと伝えて欲しいものです。



では次にこの年間5・0ミリシーベルトという値はどのような意味があるのか見てみます。

汚染地区の分類

『チェルノブイリの惨事』には、91年2月に可決されたウクライナ議会の法律「汚染地区の定義」が掲載されている。それによると次のような地区をチェルノブイリ事故の汚染区域と呼ぶことに定められている。

セシウム137による汚染     1.0キュリー/平方キロメートル以上

ストロンチウム90による汚染  0.15キュリー/平方キロメートル以上

プルトニウム239による汚染   0.01キュリー/平方キロメートル以上

この汚染区域は、次のような三つの区域に分類される。

1. 無条件に住民避難が必要な区域(セシウム137が15キュリー以上)

  ※55万5000Bq/㎡以上

2. 暫時住民避難が必要な区域(セシウム137が5〜15キュリー)

  ※18万5000〜55万5000Bq/㎡以上

3. 放射線管理区域(セシウム137が1〜5キュリー)

  ※3万7000〜18万5000Bq/㎡以上


1. 無条件に住民避難が必要な区域

セシウム137の汚染が15キュリー/平方キロメートル(55万5000Bq/㎡以上)以上の地域である(ストロンチウム90の汚染とプルトニウム239の汚染については省略する)。この地域の個人被爆量は0.5レム/年(5ミリシーベルト/年)を超える。

法律の1章3条には次のように定められている。

「この区域は危険地域であり、住民の常時居住は不可能である。この地域は農業禁止地域とし、土地所有者、耕作者の土地は没収される」

ここでの禁止項目は次の通りだ。
  • 住民が定住すること。
  • 販売目的の生産物を得るための経済活動をすること。
  • 許可なしに立ち入ること。
  • 土壌、粘土、砂、泥炭、木材、動物飼料のための農作物、薬草、キノコ、森林の野生果物をこの地域から外へ搬出すること。科学研究のための試料は除外する。
  • 車両、道具、健在、家庭用機器等を、放射線管理者の特別許可をあらかじめ得ずに、この地域から外に搬出すること。
  • 家畜の放牧、自然環境に変化を及ぼすこと、狩猟と釣り(スポーツも含めて)、水路による木材の輸送、あらゆる手段でのこの地域の通過。この地域に立ち入る場合は特別許可を受ける必要がある。そのときには検問所を必ず通過すること。

2. 暫時住民避難が必要な区域

セシウム137による汚染が5〜15キュリーの間であり、個人の被曝線量が0.1レム/年(1ミリシーベルト/年)以上の区域である。
この区域は住民避難が将来行われる。
この区域では次のことが禁止される。
  • 放射線環境と住民の放射線防護に直接関連していない新しい事業の建設、既存の事業の拡大と再建。この区域に居住する住民の、放射線による発病の危険性を低下させるために、住民避難を段階的に行う。このための費用は補償する。
  • 自給生産から、非汚染食品を入手する体制への切り替えを推奨する。
  • 汚染に関する常時監視を行う。
  • 薬品、非汚染食品、放射性物質の体外排出作用のある物質を、住民に充分供給する。
  • 骨髄症やそのほかすべての病気を早期発見するための、全住民の年一回の健康診断を無料診療所で行う。

3. 放射線管理区域

セシウム137による汚染が1〜5キュリーであり、汚染による被曝が0.1レム/年(1ミリシーベルト/年)を超さない区域である。
住民の健康診断と以下の衛生予防措置が行われる。
  • 農産物の系統的な放射線管理
  • 水、土壌、空気の汚染監視
  • 禁止活動
  • 環境に有害な影響をもつ新事業の建設、事業の拡張および再建。
広河隆一著 「暴走する原発」より引用

一応あまり信用のおけないデータですが、文部科学省による航空機モニタリングの栃木県版を張っておきます。日光や那須といった観光スポットの汚染がひどいことが伝え聞こえてきています。これらの地区は上のウクライナ基準に当てはめれば2.暫時住民避難が必要な区域となります。こうした歴史に学ばないといけないこととのギャップにものすごく違和感を感じてしまいます。

文部科学省航空機モニタリングによる栃木県のCs137汚染



福島原発事故以降、日本という国は子供の年間放射線量基準値を20ミリシーベルト/年と決めました。その後多くの親たちの声で1ミリシーベルト/年を目標とすると言わせましたが、まだこの20ミリシーベルトという数字は生きていて、それに比べれば大したことないという恐ろしいことがまかり通ってしまっています。いまだにその被害に苦しむ国の4倍の数値を許容しているのが、日本という国なのです。


子供と大人で区別しなくていいのか?



また、放射能被害に関してそれほど関心のない人でも、「子供は大人より放射線の感受性が高い」ということはなかば常識的に受け入れられています。しかしこうした新聞記事でさらに「有識者」が言ったこととなると、それだけで数字の意味を考えずに「大丈夫」と判断してしまう人も少なくないのではないでしょうか。この記事を鵜吞みにして「なんだ大丈夫なんだ」とタカをくくり、「気にしなかった人」となってしまった場合、今後数年間の過ごし方でもしかしたら「ならなくてよかった病気になってしまうかも」しれません。その事を心配しています。

さらに言うと、放射線の影響は数年たってから現れるということもある程度、認知されていると思っていたのですが、どうもそうではなく「事故から一年以上たっても何にも起きないじゃないか」とすでに事故は過去のものと考える人も多いようです。この点も過去の教訓に学ぶべき注意点ではないでしょうか。


ウクライナではどうだろうか。

事故八年目、つまり94年にウクライナ保健省は、甲状腺がんの10万人あたりの統計を発表した。

これまでチェルノブイリ事故前の症例は、はっきりしていなかった。保健省はこの報告書で、81年から85年までの症例を洗い直したが、その結果ウクライナで子供の人口10万人につき、甲状腺がんの件数は0.04から0.06以内だった。

ところが、90年にはこの指数は0.23に増え、91年には0.19、92年は0.41、93年は0.36、とチェルノブイリ事故以前のレベルの10倍近くになったのである。中でもキエフ州では92年は2.4となっている。

事故20周年に向けてまとめられたデータによると、事故後から95年までの小児甲状腺がんの総数は、ウクライナで529人である。

この数値は2004年には、2410人となった。

広河隆一著 「暴走する原発」より引用




何も起きなければいいのですが、「将来の健康被害はない」と断言するのは時期尚早ではないでしょうか。



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